防爆無線機が必要な場所とは??エリアの基礎知識と分類方法

石油コンビナート

防爆エリア(または危険場所)とは、可燃性ガス(蒸気やミストなど)、または可燃性の塵が十分な量で存在し、空気と混合することで爆発の危険がある場所を指します。

これらのエリアは、産業施設、化学工場、石油精製所、ガスステーション、穀物貯蔵施設など、多くの場所で見られます。防爆エリアの分類は、安全対策の計画と実装に不可欠です。この記事では、防爆エリアの基礎知識と分類方法について解説します。

 

ガス蒸気危険場所の分類

ガスイメージ図

ガス蒸気危険場所は、可燃性のガスや蒸気が空気中に存在し、爆発性雰囲気を生成する可能性がある場所を指します。具体的には、化学工場、酒類製造工場、ガソリンスタンド、油槽所、LNGの輸送船などが当てはまります。

これらの場所では、火災や爆発のリスクが高いため、特に注意が必要です。ガス蒸気危険場所は、火災や爆発の起きやすさに応じて、特別危険箇所(Zone 0)、第一類危険箇所(Zone 1)、第二類危険箇所(Zone 2)に分類されます。これらの区分は、安全対策や防爆構造の選定において重要な基準となります。

区分 説明
特別危険箇所 (Zone 0) 常時または長時間にわたって爆発性雰囲気が存在する場所。可燃性ガスや蒸気がほぼ連続的に存在し、非常に高いリスクを伴う。 可燃性ガスが保管されているタンクや容器の内部。
第一類危険箇所 (Zone 1) 通常の運用状態下で爆発性雰囲気が存在する可能性がある場所。可燃性ガスや蒸気が定期的に、または作業プロセス中に放出されることが予想される。 タンクや容器の開口部付近で、通常作業時に可燃性物質が放出される場所。
第二類危険箇所 (Zone 2) 通常の運用状態では爆発性雰囲気が生成される可能性が低いが、特定の条件下で短時間存在する可能性がある場所。 劣化/腐敗した配管やパッキンなど、一時的に爆発する恐れがある場所。

 

 

粉じん危険場所の分類

粉塵イメージ図

粉じん危険場所は、可燃性の粉じんが空気中に浮遊し、火災や爆発のリスクを高める場所です。

粉じんの種類には、金属粉、木粉、炭素粉(カーボン)、小麦粉、砂糖などがあり、これらが一定の濃度で空気中に存在すると、点火源がある場合に爆発する可能性があります。粉じん危険場所は、粉じんの存在形態とその濃度に基づいて、以下のように分類されます。

区分 説明
ゾーン20 粉じんが連続的に、または長時間にわたって空気中に存在する場所。粉じんが大量に発生しやすい作業環境や、プロセス中に常に発生する製造ラインなど。 製薬工場の粉末処理エリアなど
ゾーン21 通常の運用状態で粉じんが空気中に断続的に存在する場所。ゾーン20ほど頻繁ではないが、定期的に粉じんが発生する作業エリア。 木材加工工場や食品加工工場など
ゾーン22 通常の運用状態では粉じんが空気中に存在することが少ないが、事故や特定の条件下で短時間粉じんが発生する可能性がある場所。 倉庫・貯蔵施設やリサイクル施設など

 

 

防爆エリアの決定要素

電線から火花が出てる状態

防爆エリア、つまり危険場所の決定要素は、その場所がどれだけのリスクを持っているかを評価するための基準です。これらの要素は、可燃性ガス、蒸気、または粉じんの存在によって生じる爆発の可能性を判断するために用いられます。主に、以下の要素が考慮されます。

  • 可燃性物質の放出源の等級: 放出頻度と可能性により分類
  • 換気度: 可燃性ガスや蒸気を希釈する換気の度合い
  • 換気の有効度: 換気が爆発性雰囲気の生成をどれだけ防げるか

 

1. 可燃性物質の放出源の等級

可燃性物質の放出源は、その頻度と量に基づいて評価されます。放出源は大きく分けて、連続的に放出されるもの、定期的または時折放出されるもの、そして通常は放出されないが特定の条件下でのみ放出されるもの、に分類されます。これらの等級は、特にガス蒸気危険場所の分類において重要です。

放出源の等級 説明
連続等級放出源 可燃性物質を連続的に放出するか、または長時間の放出または短時間の高頻度放出をすることが予想される放出源。 ・常設の大気開放ベントを持つ固定屋根式タンク内の可燃性液体の表面
・油水分離器のような長時間にわたって大気に開放されている可燃性液体の表面
第一等級放出源 通常の状態で、可燃性物質を定期的にまたは時々放出することが予測される放出源。 ・ポンプ、コンプレッサ、バルブのシール部で、通常運転中に可燃性物質を大気中に放出することが予測できる部分
・可燃性液体容器の排液部で、通常運転中の排液作業中に可燃性物質を大気中に放出することが予測できる部分
第二等級放出源 通常の状態では可燃性物質を放出することが予測されず、もし放出しても低頻度で、しかも短時間しか放出しない放出源。 ・ポンプ、コンプレッサ、バルブのシール部で、通常運転中には可燃性物質を大気中に放出すると予測できない部分
・ 放出弁、ベントなど、通常運転中には可燃性物質を大気中に放出すると予測できない部分

 

2. 換気度

換気度は、可燃性物質がどれだけ効果的に希釈されるかを示します。高い換気度は、可燃性ガスや蒸気の濃度を爆発限界以下に保つのに役立ちます。換気の有効性は、自然換気や強制換気のシステムによっても異なります。換気度は、特にガス蒸気危険場所のリスク評価において重要な要素です。

換気度 説明
高換気度 ガスまたは蒸気の放出源において、その濃度を瞬時に低下させ、爆発下限界未満に抑えることができる換気の能力。
中換気度 ガスまたは蒸気の放出が継続する場合であっても、その濃度の上昇を抑制し、または低減することができる換気の能力。
低換気度 ガスまたは蒸気の放出が継続する場合、その濃度の上昇を抑制し、もしくは低減することができず、またはガスもしくは蒸気の放出が停止した後も爆発性雰囲気が長時間持続することを防止できない換気の能力。

 

3. 換気の有効度

換気の有効度は、換気システムが可燃性物質をどれだけ効率的に排除または希釈できるかを示します。これは、換気システムの設計、配置、および運用方法に依存します。有効な換気は、爆発性雰囲気の形成を防ぐために重要です。

換気の有効度 説明
連続した換気が行われている場合。
強制換気の場合には、換気装置が故障した場合に予備の換気装置が自動的に稼働するよう措置を執ることなどが必要。
通常運転中に換気が行われているが、低濃度で短時間の換気の停止は許容される場合。強制換気の場合には通常運転中には連続して換気を行うが、故障時には換気が停止する場合が含まれる。
良および可のいずれでもないが、長時間にわたる換気の停止はない場合。強制換気の場合には、通常運転中において連続ではないものの換気を行う場合が含まれる。有効度を弱と分類することもできないほどの換気は、危険場所における換気としては不適切である。

放出等級に加え、 換気度および換気の有効度に応じて、以下の表に基づいて分類されます。

放出等級 換気
高換気度 中換気度 低換気度
有効度「良」 有効度「可」 有効度「弱」 有効度「良」 有効度「可」 有効度「弱」 全て
連続等級 第二類危険箇所 第一類危険箇所 特別危険箇所 特別危険箇所 特別危険箇所 特別危険箇所
第一等級 第二類危険箇所 第二類危険箇所 第一類危険箇所 第一類危険箇所 第一類危険箇所 第一類危険箇所
第二等級 第二類危険箇所 第二類危険箇所 第二類危険箇所 第二類危険箇所 第二類危険箇所

 

まとめ

防爆エリアの分類とその理解は、安全を確保するための基本になります。

可燃性物質の種類や環境に応じた適切な防爆対策を講じることで、作業者の安全を守り、施設を安全に運用することができるのです。

安全は常に最優先事項であり、防爆エリアの適切な管理と対策がそれを実現する鍵となります。

しっかりとした知識を身につけ、作業環境の安全確保に努めてください。


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