【初心者でも5分でわかる防爆基礎知識】防爆の仕組みや必要な場所とは??

悩んでいる女性

「防爆ってよく聞くけど、具体的に何なの?」と、防爆について詳しく知りたいと思ってこの記事を見つけた方も多いのではないでしょうか。

防爆は、簡単に説明すると名前の通り、「爆発するかもしれない危険な地域で爆発しないように対策してあること」です。
具体的には化学工場や石油精製所など特定の危険な環境で必要とされる技術で、火花や高温を制御して爆発を防ぐためのものです。

そこで、このページでは、防爆の基本原理様々な防爆構造の種類、それらが必要とされる場所安全基準について、わかりやすくご紹介します。

最後には、防爆の仕組みがしっかり理解でき、安全な作業環境をどう実現するかが明確になるでしょう。防爆技術について、実際の現場も見てきた筆者が詳しく解説しますので、ぜひご一読ください。

 

1.防爆とは

防護服着て作業している人

先ほども簡単に説明したように、防爆とは可燃性のガス、蒸気、粉塵による火災や爆発を防止することを指します。特に、石油精製・石油化学・化学合成プラントなどの工場では、可燃性ガスや可燃性液体の蒸気が空気中に放出される可能性があり、これらが空気と混合したものを爆発性雰囲気といいます。この爆発性雰囲気が電気火花や高温の物体などの点火源に触れると、爆発や火災が起きる可能性が高くなります。

爆発性雰囲気が発生する可能性がある場所で使用する電気機器については、各種関連法令によりその場所に適する機器を使用することが義務付けられています。これにより、電気機器が爆発性雰囲気の着火源とならないように、様々な手法やアプローチにより爆発を防止する技術的な対策のことを「防爆」といいます。

防爆仕様にしないと、可燃性ガスや蒸気、粉塵が存在する環境で、電気機器からの火花や高温によって爆発や火災が発生するリスクが非常に高くなります。これは、人命や財産の損失だけでなく、環境への重大な影響を及ぼす可能性があります。したがって、防爆はこれらの危険を最小限に抑え、安全な作業環境を確保するために不可欠です。

2.防爆の仕組みについて

電線から火花が出てる状態

防爆のメカニズムは、機器内で生じる火花や高温が外部の危険な環境に伝わらないようにすることに重点を置いています。

この目的は、密閉された構造や内部の火花をコントロールする精巧な設計によって達成されます。例えば、機器内部で火花が発生した場合でも、それが外部の可燃性ガスや粉塵に接触さえしなければ、大規模な爆発を引き起こすことがないのです。

加えて、防爆構造には、内部圧力を適切なレベルに維持するための強化されたケーシングや、火花や熱が外部に漏れるのを防ぐ特別なシールや障壁が組み込まれています。これらの構造は、機器内部で何らかのトラブルが発生した場合でも、外部環境への影響を防ぐように設計されています。

また、防爆機器は通常の機器よりも厳格な安全基準に基づいて製造され、定期的な点検やメンテナンスが求められます。これにより、機器が長期間にわたり安全に機能することが保証されます。

3.防爆構造の種類

1,2,3

防爆構造には、それぞれ異なる環境やリスクに対応するために、いくつかの種類が存在します。主に耐圧防爆型、増安型、本質安全型の三つが代表的です。

【耐圧防爆型】

耐圧防爆型は、もし機器内部で爆発が起きたとしても、その衝撃や火花が外部に漏れ出ないように、非常に強固な構造で作られています。このタイプの構造は、厚い鋼鉄製の壁や重いドアなどで構成され、内部で発生した爆発を完全に封じ込める能力を持っています。化学工場や石油精製所など、高い爆発リスクを伴う環境でよく使用されます。

【増安型】

増安型は、内部で発生する火花や高温を制御し、それが外部の爆発性環境に影響を与えないように設計されています。このタイプでは、電気的な接点やスイッチなどが特別な方法で処理され、火花の発生を最小限に抑えます。増安型は、爆発の危険が比較的低いが存在する環境に適しています。

【本質安全型】

本質安全型は、電気的なエネルギーを非常に低いレベルに保つことで、火花や高温の発生自体を防ぐ設です。このタイプでは、電流や電圧を安全な限界以下に制限し、爆発性環境での使用においても火花や高温が発生しないようにします。特に、可燃性ガスが存在する可能性のある場所での使用に適しています。

 

 

4.防爆の基準値

グラフ

防爆に関する基準値は、世界中でさまざまな規格が設けられており、それぞれの地域や用途に合わせた安全基準が定められています。代表的な規格としては、欧州のATEX指令や米国のNEC 500規格が挙げられます。

【ATEX指令】

ATEX指令は、欧州連合(EU)内で販売または使用される防爆機器に適用される規格です。この指令は、爆発の危険がある環境で使用される機器や保護システムが満たすべき要件を定めており、製品の設計から製造、最終的な使用に至るまでの安全性を保証します。ATEX指令には、機器のカテゴリー分けや、使用される特定の危険環境に関する詳細な指定が含まれています。

【NEC 500規格】

米国では、NEC(National Electrical Code)500規格が防爆機器の基準として広く採用されています。この規格は、爆発性環境における電気設備の設置と使用に関する詳細なガイドラインを提供し、安全な作業環境の確保を目的としています。NEC 500規格には、爆発性環境の分類や、それぞれの環境に適した防爆機器の種類に関する指示が含まれています。

これらの規格は、防爆機器が満たすべき最低限の安全基準を定めることで、爆発のリスクがある環境での作業者の安全を確保することを目的としています。製造業者はこれらの規格に従って製品を設計・製造することが求められ、使用者は適切な規格に準拠した機器を選択することが重要です。

 

5. 防爆が必要な場所のレベル

 

防爆が必要とされる場所のレベルは、その場所の危険性に応じて異なります。このレベル分けは、爆発のリスクを評価し、適切な防爆対策を講じるために重要です。主に、ガスや蒸気、粉塵の存在に基づいて、以下のように分類されます。

【ゾーン0】

ゾーン0は、可燃性ガスが常時存在する場所を指します。このような場所では、爆発のリスクが非常に高いため、最も厳格な防爆対策が必要です。例えば、ガスタンクや化学反応器の内部などがゾーン0に該当します。

【ゾーン1】

ゾーン1は、通常の運用中に一時的に可燃性ガスが存在する可能性がある場所です。ここでは、ガス漏れなどの異常時にのみ爆発のリスクが生じるため、ゾーン0ほどではないものの、依然として高い安全対策が求められます。パイプラインの接続部やバルブ周辺などがこのカテゴリーに含まれます。

【ゾーン2】

ゾーン2は、通常の操作下では可燃性ガスが存在しないが、異常な状況下で一時的にガスが存在する可能性がある場所を指します。ここでは、爆発のリスクは比較的低いですが、予期せぬ事故や故障に備えて、適切な防爆対策が必要です。例えば、ガスタンクの外側や化学工場の換気エリアなどがゾーン2に該当します。

これらのゾーン分けにより、各場所の特性に応じた防爆対策を計画し、実施することが可能になります。防爆対策の適切な実施は、作業者の安全を保護し、大規模な事故のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。

 

まとめ

今回は「防爆」に関する基礎知識についてまとめて紹介しました。

防爆とは、化学工場や石油精製所などの危険な環境で特に重要とされている可燃性ガスや粉塵が原因で起こる火災や爆発を防ぐ技術です。
その構造タイプには、大きく分けて、耐圧防爆型、増安型、本質安全型の3種類があります。耐圧防爆型は機器内の爆発を外部に漏らさない設計、増安型は内部の火花や高温を制御、本質安全型は電気的エネルギーを低く保つことで火花の発生を防ぎます。

また、国際的な安全基準としては、欧州のATEX指令米国のNEC 500規格があります。これらは、防爆機器が満たすべき安全基準を定めています。

防爆が必要な場所のレベルは、ゾーン0(可燃性ガスが常時存在)、ゾーン1(一時的に可燃性ガスが存在する可能性がある場所)、ゾーン2(異常な状況下で一時的にガスが存在する可能性がある場所)に分類されます。

今回の記事を通して、防爆の基本的な概念とその重要性、さまざまなタイプと安全基準についての理解を深めていただければと思います。


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